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らこ
読書術/ライフハック/これからの働き方/30代ビジネスパーソン。趣味は年間200冊以上の読書とサウナ。
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【書評】『江戸の読書会』私塾2.0の時代到来の予感!

この記事の対象読者

・本や読書会が好き
・歴史や文脈に関心を持っている
・コミュニティに興味がある

読書会って、じつは江戸時代からあったんです!

教えてくれた本は『江戸の読書会』

江戸時代の読書会には、私塾とも密接な関係性を持っていることがわかりました。

この記事では「江戸の読書会」の舞台にもなっている「私塾」を軸にレビューをします。

この記事の内容

・江戸時代における私塾の位置づけ
・当時の読書会=会読の解説
・個人の私塾体験の紹介
・私塾の可能性への思考

目次

江戸時代における私塾

江戸時代で知名度のある私塾といえば、緒方洪庵が主宰した大阪の適塾です。

かの有名な福澤諭吉は、適塾の入門生で蘭学に勤しんでいました。

じつは福澤諭吉は、適塾の読書会で行われた自由闊達な討論によって頭角を現したとも言われています。

当時、現代でいうところの読書会は「会読(かいどく)」と呼ばれていました。

会読って言葉自体を知らなかった!

『江戸の読書会』の会読とは

会読とは、討論をしながら読み合う共同読書の方法です。まさに読書会そのものですよね。

江戸時代の読書というと『論語』をひたむきに暗記して声に出す「素読」を思い浮かべるのではないでしょうか。

もちろん素読も一つの手法ですが、儒学の教授法には素読・講釈・会読、これら3つの読みが存在していました。

講釈は、先生が多数の生徒に解説するよくある形式です!

さらに会読には3つの特徴が挙げられます。

・相互コミュニケーション性
・対等性
・結社性

会読の祖は伊藤仁斎と荻生徂徠、ふたりとも学者であり知識人です。

まさに知識人が門戸を開いて後進の育成をしたのが私塾です。

武士が通う「藩校」と比較しても町民が通える自由な学習空間であった私塾では、会読が活発化しました。

ちなみに会読は十五歳以上が対象

寺子屋の先のステップに位置付けられる藩校と私塾で実施されていたようです。

江戸時代といえば寺子屋のイメージしかないよね!

江戸時代の身分社会における会読

江戸時代は士農工商による明確な身分社会でした。

おもしろいのは中国の科挙といった立身出世のない身分社会だからこそ、学問が「遊び」として育ったことです。

ダラダラしている武士のお尻たたきにも活用されたみたい

一つの本をテーマに討論するのは現代の読書会にも通じますが、会読には競争の要素があったといいます。

もちろん、ガチガチの競争ではなく、ロジェ・カイヨワが定義する競争の遊び=アゴンの範囲です。

ロジェ・カイヨワとは、遊びをアカデミックに語り、遊びを4つに分類したフランスの偉い学者さんです。

余談ですが、せっかくなので分類をここで見てみましょう。

アゴン(競争)は左上に位置付けられます。


出典:「遊び」の分類と組み合わせ

では、討論における遊び要素のある競争って何でしょうか?

いまでいうところのAbemaTVの配信番組が近しいでしょうか。

ひろゆきさんがディベートでゲストを「論破」するような、あのようなイメージです。

たしかにディベートは知的な遊びの側面もありますね

やがて時代が幕末へと移っていくと、会読の討論の中身には政治色が濃くなってきます。

会読の特徴には「結社性」もありましたね。

社中・結社なら禁じられていない!と利用したのは、あの吉田松陰です。

吉田松陰は足を動かして会読を外に広げ、横のネットワークを強固なものにしていきました。

なんだかスケールが大きいぞ!

それでは会読は倒幕とともに無くなるかというと、じつは明治時代初期も盛んだったといいます。

やがて立身出世主義が主流に。学問がお金に結び付くようになり、会読から遊び要素は消えてゆきます。

あわせて西欧型の効率的なカリキュラムが輸入。

答えのない解釈で議論し合う会読は姿を見せなくなりました。

教育は答えがあるものの暗記がスタンダードに……!

個人としての私塾体験

ここで閑話休題、自分と私塾の接点にふれていきます。

思い返すと、ぼくは社会人になってから3つの私塾を体験しました。

・ほぼ日の編集を学ぶ「ほぼ日の塾」
・ローカルと企画の実践「オレンジブレイナリー」
・ファンベースの基礎から学ぶ「さとなおラボ」

基本としてはプロジェクト型でゴール=目的があって期限付きです。

けっして長期ではないけれど、いずれも濃密な時間で、当時の人との出会いも財産になっています。

いまは手法の一つとしてオンラインサロンが存在しますが、トレンドは落ち着いたようにも感じます。

個人の影響力を主語としないような崇高な志があり、そこに持続性を付加することはできないのでしょうか。

でも考えてみれば、ビジョン×持続性って企業組織そのものなんですよね。

ビジョンに共感した人が企業に集まるのが本来論!

人材の流動性が高まり、新陳代謝も早まっている現在の企業形態。

企業組織はプロジェクト化していくと語られていますが、企業と私塾は交わってくる気がします。

何か特定の私塾や企業を「卒業」したことで、そのネットワークが広がっていくイメージです。

立身出世とは別のロジックで人生100年時代を生きる現代人には、私塾2.0が必要になってくる。

たとえば、松下政経塾にカルチャーをかけ合わせたような私塾2.0があってもいいと思うんですね。

『江戸の読書会』から垣間見える私塾の可能性

これからの日本社会は人口がどんどん減っていく、これは不可逆的な事実といえるでしょう。

ひとりの重みが増えるなかで、人から人へとバトンを継いでいく重要性を感じています。

ちなみに大前研一氏は著書『日本の論点 2022~23』の教育パートで私塾の可能性に言及をしています。

そもそも大前研一氏はBBT大学や大前経営塾、一新塾と実践を続けています。

先の読めない世の中では、学びが人から人へ私塾のように伝わっていく柔軟性が望ましいです。

『江戸の読書会』まとめ:過去から未来を思考しよう!

『江戸時代の読書会』にはぼくが切り取った私塾以外にも読みどころはたくさん。

翻って、読書会いう視点で江戸時代から明治を眺めてみると新たな発見が出てきます。

自由民権運動をはじめとする闊達な討論の下地には、江戸時代から続く会読があったのではと思えてきます。

自分の私塾への想いも語りましたが、過去から未来を思考させてくれる、そんな一冊でした。

読書会にご興味がある方は下記も目を通しましょう。

それではよい一日を!

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